偽物ICとは
偽物ICの種類と分類
偽物ICとは?
知らずに使うと大きな損失に!?
偽物ICはというのは見た目は本物のICによく似ているが動作しないICのことです。
正規品のICを作る過程でできた不良品ではなく、不当な目的のために偽造されたICのことを指します。
偽物ICには、すぐにわかる粗悪な偽物から本物と同等に動くものまで様々なレベルがあります。偽物ICを作っている集団は多種多様であり把握するのは実態を把握することは困難です。
偽物ICの実例
偽物ICにはどんな例があるのか?
2000年台初めごろから中に何も入っていないもの、すなわちICの形はしているけれどもダイが入っていないものや、重さを調整するために石や砂が詰められているものが報告されています。
高度な偽物IC製造業者は、本物のICと同等に動作する回路をウェハーレベルで作成して独自にパッケージングしているようです。例えば、OPアンプはどれも同じようなピン配置なので汎用的なものを1つ作ってマーキングを顧客の注文に応じて書き換えていると聞きます。そういったICは特性を測ってみて初めて気が付くことになります。バッテリ充電監視ICなどでは、メーカー製と同等のハイレベルの偽物ICがあると聞いています。
ウェハレベルで作る偽物ICは小規模なアナログ回路であることがほとんどです。
常套手段はマーキング書き換え
偽物ICの製造方法として、実装済みの基板からICを取り外して半田を綺麗に洗浄してマーキングを書き換えるという手口があります。こういったICは中古機器から外したものや工場で出荷されずに廃棄された基板から取り出されたICを利用していると想定されます。
おそらく、注文が入ると同じパッケージ(QFP144など)の別のICのマーキングを削って消し、上からマーキングを書き直すような方法で「生産」されていると推測されます。そのため、オーダーを入れると大抵は「仕入先の事情で納期が延びた」と言われ、出荷までに1週間ほどかかります。
改良レーザープリンタで製造?
マーキングを書き換えただけで中身は全く異なるICなので、動作しないだけでなく電源をショートさせたり、異常な電圧を発生させるなどして実装された基板の他の部品にダメージを与えることもあります。
「製造」には高価なレーザーマーキング装置を使っている集団から、アパートの一室でレーザープリンタを改良して刻印しているものまで、様々な手段があるようです。
そのため、本物と同じレベルの仕上がりのものから、雑なものまでいろいろあるそうです。
リサイクルされた中古品IC
最近よく見かけるのはリサイクルされた中古品のICです。このタイプは中身が本物であるため、厳密には偽物ICと呼べるのかどうかわかりません。これは再生品と呼ぶべきかもしれません。
一般的には中古の基板などから取り外したものを洗浄して、マーキングの書き換えは行わずに新品と称して流通経路に乗せていると推測されます。
中古品ICはそれなりに動作しますが、一部の端子が電気的に壊れていたり、劣化していたり、内蔵ROMが書き込み済みであったりすることがあります。
X線や外観検査でマーキングを調べても本物であるがゆえに判別することが難しいでしょう。再ハンダされた痕がないかどうかや、フラックスの付着がないかどうか、ピンの折れ曲がりなど画像検査によって総合的に判断されるのが一般的です。
「ICが手に入らないよりは中古品でもいいから入手したい」という需要が一定数あるのも事実です。
偽物ICの種類と診断方法
偽物ICの種類と、従来から行われている検査方法、それから当社サービスによる検査方法を下の表に示します。