偽造ICの大規模調査
2024年5月1日
特殊電子回路では、偽造ICの実態を把握する研究調査を計画しています。
研究調査の背景
「シルクを書き換えていた」や「中身が空っぽだった」という偽造ICが存在するという話は良く聞きますが、実際に存在する偽造ICを写真付きで証拠として出しているものは、信用できる資料の中にはありません。
OPアンプなどでは偽物が存在するという話は聞いていますが、FPGAやCPUでも存在するかどうかは明らかではありません。
FPGAやCPUといった大規模LSIで偽造品が存在するかどうかというのをエビデンスとともに公開しているものはありません。
その理由としては、「偽物を購入したなど恥ずかしくて公表できない」という理由や、流通在庫を使うことを公にしてしまうのが問題あるということなどの理由があるかもしれません。また、当社の真贋判定事業で実際のお客様からお預かりしたICを調査した結果も写真付きでは乗せることができません。
したがって、精度の高い偽物ICの統計情報というのは得難いものがあります。
これまでに調査した結果
真贋判定事業を実際に行ってみて、検査したICからは中古品は多く発見されています。「中古のICを洗浄して端子を付け直し、新品として称して販売しているもの」は確かに存在するようです。想像ですが、中古の機器からICを取り外して洗浄して新品と称して販売しているように見えます。一種の偽物といえるでしょう。
また、二次元バーコードを持つICでは、メーカーのデータベースが異常な結果を返した物があります。すなわち、半導体工場で不良品として判定されたようなものが横流しされた可能性はあります。ある意味本物ではありますが、正規品ではありません。
そこで、特殊電子回路では、海外の流通事業者にあふれる流通在庫の中から、FPGA、CPUなどの大規模LSIを多品種購入し、公表可能な偽造ICの実態調査を行うことを計画しています。
調査の方法
顧客資産であるICの写真を公表するわけにはいかないので、当社で流通在庫ICを多数購入して調査します。
やり方としては数百万円の資金を調達し、それをもとに深圳や香港などにある流通在庫業者から様々なFPGA・CPUを多品種1個ずつ購入してその真贋を判定します。その結果の統計をとり、流通業者ごとの信頼性や、偽物ICの製造方法の解明を行っていく予定です。
- シルク書き換えは存在するのか?
- 中身が空っぽのICは実在するのか?
- どのようにして製造されているのか?
- スパイチップ(情報流出のためのバックドアが仕掛けられたチップ)は存在するのか
といったことを中心に調査します。
結果の発表
この結果は論文等で発表します。