開発日記
2022年4月 真贋判定装置を作ろうと思い立った
IC真贋判定装置の方式の再検討
2022.04.21
IC真贋判定装置の概要設計を見直しました。
最初は、様々なICに対応するために、たくさんのピンをジャンパワイヤーでポチポチとつないで、電圧の確認はLEDでしようと考えていましたが、それだとやっぱりダサすぎるので、アナログスイッチを使うことにしました。
原理は下の図のとおりです。
原理を説明します。
まず、アナログスイッチをICのピン数×6個並べておきます。検査対象ICのピンにつながっているのが横のライン、電源レールにつながっているのが縦のラインで、その交点にアナログスイッチがあります。
例えば、検査対象ICの120番ピンと150番ピンがGNDだとすると、その120と150に対応するアナログスイッチをONにして、その端子をGNDに接続します。このようにして、任意のピン番号の端子にGND、1.0V、1.2V、1.8V、3.3Vを与えられるようにします。モード設定的な信号もこのアナログスイッチから供給できるでしょう。
アナログスイッチの制御信号はピンごとに6本なので、内層を2つ使えば余裕で引き出し可能です。つまり、この回路は6層基板で製造可能というわけです。
一番左側にTSTという縦のラインがありますが、このラインはDACやADCがつながった特別なラインで、電圧を測ったり、任意の電圧を与えることができます。
用途としては、
- 検査前に各ピンの電圧を確認して、電源が間違っていないかどうかのチェック
- 検査対象ICが出力H/Lレベルの読み取り
- 検査対象ICの出力するドライブ電流の測定
- 電圧-電流特性のテスト(ICが壊れていてGNDにショートしていないかなど)
に使います。
アナログスイッチは探せば、1mm角くらいの小さいのが見つかるので、
こういうのを1440個並べればQFP240ピン用の万能検査装置が、3000個並べればBGA484用の万能検査装置が作れそうです。
JTAGを使ったFPGA真贋判定装置の設計開始
2022年4月19日
半導体不足が続く中で、どうしても流通在庫を使わなければならない人たちもいます。流通在庫の不安を解消するために、JTAGバウンダリスキャンを使ったFPGAの真贋判定装置を作ろうと考えていて、本日から具体的な設計を始めました。
下の図は装置のイメージ図です。最初のターゲットデバイスはQFP240です。
中心にあるのはゼロプレッシャーのソケットで、
ピンがスプリング構造になっているので、機械的なダメージを最小限にして検査できるというわけです。
このソケットが乗った基板を「プローブ基板」と呼ぶことにして、それとは別に、下の段にテスト信号を発生させる「ベース基板」を置きます。プローブ基板を変えることで、QFP240、QFP208、QFP144、QFP100、BGA324、BGA484、BGA676あたりに対応させたいと思います。
この基板をタカチのこのケースに納めようと思っています。
さて、たくさん並んだピンヘッダとLEDは何かということを説明するために、1つ1つのピンが電気的にどのようになっているかを下の図に示します。
左にあるのがテスト信号発生IC(これをどうやって作るかは検討中)で、右にあるのがゼロプレッシャーソケットに装着された検査対象IC(FPGA)です。
検査の原理は、「1本1本のI/Oをテスト信号発生ICと接続して、検査対象IC(FPGA)の端子をバウンダリスキャンで操作して、I/Oが生きているかどうかを確かめる」というものですが、FPGAの端子には、GNDやVCCなどI/O以外の様々な端子があるので、それらの端子をどう作るかという問題があります。
今回は迅速かつ低コストで作りたいので、極めて簡略化した作りになりますが、ピンヘッダとジャンパピンでテスト信号発生ICと検査対象ICを電気的につないだり切ったりすることができるようにします。
VCCは、ピンヘッダのピンからブレッドボードのジャンパ線みたいなのを使って電源レールに接続するようにします。
では、LEDは何かというと、I/O端子に直接つないだLEDは2V程度で点灯しはじめて3.3VくらいでMAXに光るでしょう。一方、トランジスタを介してつないだLEDは1VくらいでMAXに光るでしょう。このLEDの光をみて、電圧をなんとなく目視で把握できるようにします。
この考えでどこまで大きなICに対応できそうか考えてみると、BGA676までは対応できそうです。
BGA676は26×26なので、ピンヘッダは26×26×3本になります。
さすがにピンヘッダがここまでたくさん並ぶと基板の強度的にも良くなさそうですし、配線も大変そうな感じなので、別の方法を考えるかもしれません。