開発日記

2022年9月 事業再構築補助金に採択されました!

いきなり融資

2022.09.30

昨日、金融機関の担当者様がいらっしゃって、お話をうかがってみると融資をしたいそうなのです。事業再構築補助補助金の交付申請もまだ行っておらず、経費がいくら必要になるかも確定していない。当然、補助金がいくら下りるかわからないのに、どうしても9月中に融資を実行したいそうなのです。

前年度の当社の業績は大赤字でめちゃくちゃなのに、かなりの金額を融資してくれました。

普通、こんな大赤字の会社に貸さないだろうという金額です。

そのかわり毎月の返済額もハンパじゃない。

補助金が下りれば返せますよということなのですが、万が一、補助金の経費が確定払いの申請で拒否されてしまうとなると・・・ちょっと怖い金額になりました。このお金は毎月の支払で溶かしてしまうことなんて絶対にできない。恐ろしい・・


X線検査装置を買いました

2022.09.27

X線検査装置を買いました。

アールエフ社のNAOMI 2Dです。

Naomi

手元にアルミケースに入ったCosmo-Z Miniがあったので、さっそく、透視撮影してみまた。

Naomicosmozmini

なんと、アルミのケースを透かしてばっちり見えてしまっているではないですか!!!

Cosmozmini

後から飛ばしたジャンパ線まで丸見えです。(試作機なので)

検査対象物は後ろのほうに置きましたが、分解能的には0.5mmのコネクタやQFPの端子は確実に見えているようです。

置く場所を前のほうにすれば、少しはぼやけるかもしれませんが、さらに分解能を上げることができそうです。


事業再構築補助金に採択されました~事業計画書作成のポイント

2022.09.15

第6回事業再構築補助金に採択されました!

Gaiyou

どのような事業をするかというと、流通市場にあふれる半導体の中から偽物ICを見抜いて安心して使用できるようにするというもので、そのために超ICテスタを作り真贋判定サービスを提供するというものです。

Saitaku

初めての応募で、認定支援機関はお世話になっている信用金庫さんです。民間コンサルや中小企業診断士とかは使っていないので、かかった費用はゼロです。

本ブログでは、事業再構築補助金を目指す方のために、私が心がけていたことをいくつか書いていきたいと思います。

 

まず、事業再構築補助金は、「補助金がもらえるから新しいことしよう」と考えるのではなく、自発的に新事業を考えていた事業主がこの補助金をうまく使うことで金銭的負担を減らせる制度と考えるべきです。最初に補助金ありきではなく、もともとやりたかった事業にこの補助金をうまく落とし込んでいくことが大切です。

そうしないと事業計画をうまく立てられないし、フルーツサンドや冷凍餃子の自動販売機とかになってしまいます。

 

それから、補助金の金額は1500万円以上にすること。2/3助成ですから事業総額は2280万円以上にします。なぜならば、1500万円未満の事業は事業計画書が10ページに制限されてしまうからです。1500万円以上なら15ページまで許されます。本気で事業計画を立てたら15ページぎりぎりまで書く内容があるので、10ページには到底収まりません。

1500万円以上というのはあくまでも「枠」なので使いきる必要はありません。高価な設備で他のことに使えなさそうなものを並べれば金額はクリアできると思います。繰り返しになりますが、あくまでも1500万円というのは枠なので、交付申請で綿密に予算を立てて計画を練り直すときに具体的な金額を決めます。

 

なお、勘違いしている人も大勢いる(というか、コンサルを受注したい士業が煽っている)のですが、事業再構築補助金はお金がもらえるわけではありません。まずは自分の自腹で事業を行って成果が出たらその一部を後から国が補填するというものです。したがって、新事業に失敗したら(建前上は)補助金はもらえません。それに、新事業は5年程度は報告しなければならず、その間に新事業が成功して利益が出たら補助金は返さなければなりません。これを収益納付といいます

(優秀な税理士に頼めば収益納付が免れるというようなことを諭す人もいますが、それはおそらく不正です。)

補助金がもらえるのはおそらく2年くらい先になるので、それまでの間の資金は自己資金+金融機関からのつなぎ融資を使うしかありません。失敗したら補助金は出ず借金を抱えるだけになります。非常にリスクが高いといえます。

失敗してもいいからチャレンジしろという補助金ではありません。失敗するなよ、大成功もするなよ、です。

成功しても収益納付で返納しなければなりませんが、私の場合は、大成功させて収益納付で全額返納してやろうじゃないかと燃えてくるわけです。

 

あと、人件費は出ません。事務所を借りたとしても家賃は原則的には出ません。(新築工場に移転するまでの一時的な家賃とかなら出るけど、かなりの例外)。レンタルオフィスを借りたとしても経費にはなりません。商品を作る原材料費も出ません。

この補助金で買えるものは、新事業だけで使うためのものになります。汎用的に使えるものは買えません。だから、オシロスコープとか新しい回路CADとかは、きっと買えません。そういう汎用的に使えるものは疑われないように取得資産に含めないことが重要かと思います。

 

この補助金の要領では「大胆な事業転換」みたいな言い方がよく出てきますが、「大胆な」というのは無鉄砲な計画を立てろといっているのではなく、金額の大きな固定資産を取得して事業転換しろということを言っています。この補助金の目的は固定遺産を取得させるところにありますから、広告宣伝費ばかりを膨らませたような計画だとダメです。

 

ほかにも、事業計画で必須のSWOT分析などでは図表が第一で、文章はそれを補足するものにするということ。競合他社との比較は表にしてわかりやすくすること。事業計画書の1ページ目に目次と要約を書くこと。新事業がぐんぐん伸びて既存事業を置き換えるような計画にすること。17個(だっけ?)の要件をこじつけでもいから全て満たすような事業計画にすること、などが重要かなと思います。こじつけて作文する能力が問われています。

審査員は1案件を3人くらいが見るそうで、17個の要件をどれだけ満たしているかを見て点数をつけているらしいです。「地域に貢献する事業か?」みたいな項目も漏らさず書くようにしましょう。私の場合は日本に貢献するとは書いたけど地域に貢献するにはこじづけられませんでした。

市場調査については「市場は伸びている」という動向グラフではなく、オリジナリティのある市場調査をしたほうがよいでしょう。顧客にアンケートを取るとかSNSで意見を募るとかなんでもいいのですが、ネットサーフィンして情報取集するだけではなく、実際に動くことが大事です。

 

資金繰りについても、私の場合は何パターンかをシミュレーションしました。標準のパターン、予想より売れなかったパターン、銀行から融資が得られなかったパターン、補助金が採択されなかったパターン、と4種類くらいをシミュレーションしています。「補助金が得られなくても自己資金で作れるけど時間がかかってチャンスを逃してしまう。補助金が得られればスピードが加速される。」というストーリーにしています。補助金ありきではなく補助金がなくても自分でやるぞという意思を示しているわけです。

それから、私の事業では研究開発を伴うので「プロトタイプを作って実験して原理的に可能であることを確かめた。補助金がもらえれば手作業を自動化して汎用化して、これを10倍の規模で作り直す」というストーリーにしています。

半導体のウンタラカンタラみたいなのを事業計画書に細かく書いたり、作る装置のことを詳しく書いてもきっと審査員には理解されないので、細かい原理や作る物の仕様についてはあまり触れず、適当なポンチ絵を描いて見せた程度です。

 

私の場合の一番の落とされる理由は、会社に私一人しかいないことで人的リソースが足りないことでした。社長一人の会社であるということが一番のリスクでしたが、なんとかクリアできたようです。

 

要件を漏れなく満たすこと、固定資産を取得すること、売れないリスクを考えて最悪のパターンでも資金繰りはなんとかなるということ、実現性も十分にあるということを書いて落とされる要因をすべてつぶしていきます。

落とされる理由をなくすことです。